参 道


東方の三津口湾より野呂山(弘法寺)を望む

(01) 参道入口から三本松公園まで
(02) 三本松公園
(03) 三本松公園/大師堂、春日燈籠
(04) 一番札所/三本松公園
(05) 二番札所/地蔵岩札所(嫁の腰掛け)
(06) 三番札所/桂谷不動岩札所
(07) 四番札所/夫婦休み札所(地蔵堂、子宝地蔵)
(08) 馬ノ背
(09) 仁王門・金剛力士像二体
(10) 五番札所/観世音岩札所
(11) 六番札所/毘沙門岩札所
(12) 七番札所/釈迦岩札所
(13) 不動岩、不動明王堂
(14) 龍頭岩
(15) 八番札所/勢至岩札所
(16) 玉すだれの滝
(17) 観音堂
(18) 屏風岩
(19) 飛び岩
(20) 九番札所/阿弥陀堂札所
(21) 鐘楼
(22) 弘法寺  ←ホームページに移動します
(23) 奥之院  ←ホームページに移動します
大重岩
小重岩
野呂神社  ←ホームページに移動します


(01) 参道入口から三本松公園まで


中畑川沿いの大師堂 / 中畑川の河口付近にあります。旧国道185号に面しており、 右手(東)がJR安浦駅方面になります。弘法寺へは 左手(西)に進みます。


中畑川の川下を見渡すと一帯は埋め立てられたように見受けられます。それもそのはず、山の麓の住吉神社には「内海(うちのうみ、地名)は入海だった」との案内がありました。空海が四国から渡られたとすると、こちらに上陸されたのではないかとの思いから、ここ(大師堂)を「ゆかりの参道」の入口としました。往時の航路や大師堂の創建については不明です。またどこからか移築されたのかもしれません。

(注)『野路山 伊音城 弘法寺』では次のような伝承が紹介されています。『延暦11年(792)、空海19歳の時、厳島の弥山で修行された。帰途、乗船した舟が内海村の才崎の海岸へ自然に着いたので、不思議に思われながら霊峰野路山に向って進まれた。すでに夕刻で案内人もないまま歩いていると、途中から狐が案内したと伝える。』

空海が弥山で修行した年代に疑問が残りますが、「舟が内海村の才崎の海岸へ自然に着いた」という伝承も考慮して空海が上陸された地としました。


旧国道から別れて一車線の舗装路を中切川に沿って上流方面に進みます(写真中央)。背後の山が野呂山(野路山)。晴れた日には山頂の弘法寺が見えます。


道路の入り口に「麻畠山 子安弘法大師 是ヨリ約一丁」の石碑がありました。子安弘法大師堂は昭和30年に三本松公園に移築されたそうです。


参道入口の地蔵尊 / かつては旧中切村の県道から登山していたそうで、ここが参道入口だったそうです。ということは地蔵尊に向かって右側の道路が昔の参道だったのかもしれません。三本松公園に移設されている一対の春日灯籠はこの入口にあったそうです(野路山弘法大師、是れより四十五丁)。


現在の参道入口 / 正面が森神社。国道185号に「野呂登山口」のバス停があります。



森神社 / 祭神は倉稲魂神(うかのみたまのかみ)。天平宝宇年中(757〜765)頃、五穀豊穣を祈願したのに始まると伝える。神仏習合期には三宝荒神と称した。境内に馬頭観音像が祀られ、仏像の銘(永享6年/1434)は町内では最古のものである。寛政年代(1460〜1465)禅宗観音堂(後の阿弥陀堂)存置を伝え、江戸時代には観音堂境内に社倉が建てられている。「安芸の防川地蔵」も近くに建ち、霊験も差出帳に残されている。この地方の中心地であったことを知ることができる。(案内板より要約)。


「三本松公園」(右)の大きな案内板が立つ道路に出ます。左手に「三本松公園入口」のバス停があります。 三本松公園へは中切川に沿って直進します。




国道185号線から、あるいは県道34号から入った場合は、ここが「三本松公園の入口」になります。


三本松公園まで1車線の舗装路が続きます。



里程地蔵(三十丁)



里程地蔵(二十九、あるいは二十八丁)


里程地蔵(二十七丁だと思います)


里程地蔵(二十六、あるいは二十五丁)


里程地蔵(二十四丁)


里程地蔵の左手に車道から別れた歩道がありました。新池(200m)から三本松公園(400m)に至る本来の参道だと思われます。『野路山 伊音城 弘法寺』には、ふたつの里程地蔵が記されています。


新池 / 正式名は「中切松畑池」のようです。立ち入り禁止です。車道から風景を楽しみましょう。


安登方面から三本松公園への登山道は通行止めになっていました(2011年12月)。


道路が三方に別れます。 最初の道を右折すると三本松公園の正面入口へ、 直進すると「馬ノ背」の駐車場に、中間の道を右折すると三本松公園の東屋方面に至ります(公園中央にも回れます)。


この分岐点からは畑越しに三本松公園の大師堂とトイレ棟が見えます。


(02) 三本松公園


いろは水


桜の季節が待ち遠しいです。


上流の川から引かれているそうです。


トイレ棟(簡易水洗)


(03) 三本松公園/大師堂, 春日燈籠 (かすがとうろう)


子安弘法大師堂 / 昭和30年に中切から三本松公園に移築されたそうです。


[本尊]弘法大師座像(石)


<写真なし>


春日灯籠(かすがとうろう)/ 道路の改修により旧参道入口から公園に移設されたそうです。


(04) 一番札所/三本松公園


一番札所 三本松公園(堂宇)/ 1899(明治32)創建


地蔵(一番〜十番) 大師座像 里程地蔵(中央) 大師像(中央仏)/ [御詠歌]九ほんある 弥だの浄土の そのなかに かみの三ぼん まつぞたのしき


(05) 二番札所/地蔵岩札所(嫁の腰掛け)



三本松公園から歩道になります。


里程地蔵(十八丁)




右手、谷の向こうに岩山が見えてきます。


沢を渡ります。当日の水量は少な目、普段の様子は不明です。


くぐり岩 / 地蔵岩札所の登り口にあります。


くぐり岩 / 「罪や悪事を働いたものは岩につぶされる」といういわれがあるそうてす。


急な坂道を登ると頭上に大きな岩が現れます。


二番札所 地蔵岩札所(嫁の腰掛け)(岩屋)/ 川向こうからは岩に仏像のレリーフがなされているように見えましたが、すべて自然による造形でした。直立した岩山の重量感、岩肌に現れた模様と色合いは現代美術そのものでした。


地蔵(十一番〜二十番) 大師像 観世音菩薩(中央仏)/ [御詠歌]よめばかり こしかけでなし みな人は やすみてのぼる 身こそやすけれ


左手に回ります。岩の大きさを実感します。


[岩の中段]地蔵尊(鶴林寺)


岩の裏側にあたる石段を上ります。石段の左手から小道がのびていました。不動岩方面への近道なのかもしれません。


岩の上は真っ平らな広場になっています。


[岩の上段]延命地蔵尊(立江寺)  ※ ピンボケの画像です


部屋のような形状です。北西方向に開けています。


東南の方角が開け、三本松公園や遠くに瀬戸内海が見えました。こうした風景や下段の岩屋、上段の延命地蔵尊が祀られている「部屋」を目の当たりにすると、求聞持法の可能性について考えてしまいます。


振り返ればこれから参詣する山頂の弘法寺も確認できました。


(06) 三番札所/桂谷不動岩札所 (ふどういわ)



左にカーブしたところに本道と別れた登山道があります。


里程地蔵(十七丁)



本道に合流します。


土砂災害で登山道が寸断されていました。


川向こうの案内標識に向かって川を渡ります。


不動岩へは右手に進みます。かなり荒れた道になっていました。地蔵岩からの小道はこの先につながっているようですが確認していません。


「不動岩札所」の標識から右手に入ります。


急坂を登ります。200mが遠くに感じられました。


しばらく登ると頭上に石組みが現れます。


三番札所 桂谷不動岩札所(岩屋)/ 高さ10m 幅7.5m 奥行き15.6m


地蔵(二十一番〜三十番) 大師像 不動明王(中央仏)/ [御詠歌]ぼんのふの かづらがたにと 結ぶ身も とけてこそゆけ 弥だの浄土へ



あたりは雑木林で陽光がさえぎられていました。


隣にも大岩が連なっています。


西に30m行くと枯れ滝がある(かつては水が落ちていた)そうなので、確認のために小道を進みましたが道がなくなりました。今日はここまでということで引き返しました。


(07) 四番札所/夫婦休み札所(地蔵堂、子宝地蔵)


不動岩方面を振り返ったところです。左上が不動岩方面からの登山道、右下が「野呂山登山道」の標識に沿った登山道でここで合流します。2011年12月現在、不動岩方面からの登山道のみ通行可能でした。



里程地蔵(十五丁)


参道の右手に沢が見えたので少しだけ入ってみました。現在は枯れているという不動岩の滝はこの上流にあたるのかもしれません。


里程地蔵(十四丁)



『昔、勤勉な樵夫婦がこの山で働き、幸せに暮らしていたが、二人に子供がなく、この地蔵に子宝の恵まれることを祈念した。念願かなって男子が出産し、立派に成長した。夫婦は相変わらず働き者で、このお堂でよく休んでいたので、「夫婦休み」といい、地蔵を「子宝地蔵」と呼ぶようになった。その後、夫婦は夫婦岩の化石としてなって参詣者を守っているという。』 『野路山 伊音城 弘法寺』より


里程地蔵(十三丁)


自然を愛でながらの休憩です。画像では赤系の色が落ちています。


(08) 馬ノ背 (うまのせ)


傾斜が少しきつくなります。少し荒れた自然石の石段です。


里程地蔵(十二丁)


里程地蔵(十一丁)


里程地蔵(十丁)


「休憩所」の案内表示に救われます。


「馬ノ背」は参道から左に別れ、50m進んだところにあります。


三本松公園から登ると始めて視界が開けます。トイレ、水場はありません。弘法寺まで800mです(案内表示には900mとありましたが、前後の計算から800mとしました)。


標高は約500mです。北東から南にかけて展望できます。写真は来島海峡大橋(愛媛県)方面です。


坂道を下ると駐車場があり、三本松公園まで1車線の舗装路(3.9km)が続いています。瀬戸内海は展望できません。


(09) 仁王門・金剛力士像二体 (におうもん・こんごうりきし)


このような木の段はごく一部(ここだけ)です。


里程地蔵(八丁)だと思います。


里程地蔵(七丁)



里程地蔵(六丁)


里程地蔵(五丁)



仁王門 / 1871(明治4)に建立。仁王門の左手から観世音岩札所(五番)へのコースは急斜面で足場がよくありません。仁王門の先に平坦なコースの入口があります。そちらをおすすめします。弘法寺まで残り約400mですが、私の場合、ここからのラストで一気に体力を奪われてしまいました。


阿形立像(あぎょうりゅうぞう 右)


吽形立像(うんぎょうりゅうぞう 左)/ 神仏にはストロボをあてないようにしているので、これが限界です。


(10) 五番札所/観世音岩札所 (かんぜおんいわ)


里程地蔵(四丁)


観世音岩札所へはこちらのコースをおすすめします。


五番札所 観世音岩札所(かん千音岩札所)(岩屋)/ 高さ3.6m 長さ10.8m


観世音岩の右側面  ※ ピンボケの画像です


地蔵(四十一番〜五十番) 大師像 観世音菩薩(中央仏)/ [御詠歌]あしきこと みなことことく さるのした きよくてらせよ 野呂山の月

岩屋の様子がわかるアングルを確保するために少々失礼な領域に入り込んでしまいました。


参道(仁王門方面を振り返ったところ)/ 美しい曲線を描いた石段が連なります。岩のひとつひとつが人の手によるものであることを思うと胸が熱くなります。何事もなかったように包み込む静寂な空間。時を超えた大気との一体感に浸ります。


(11) 六番札所/毘沙門岩札所 (びしゃもんいわ)


里程地蔵(三丁、あるいは二丁)


里程地蔵(三丁、あるいは二丁)


登りが続く参道にアクセントを付けるかのような小さな峠です。左右に分岐します。山上の境内から参詣の方々の声が聞こえてきます。


左に進むと、毘沙門岩札所から直接、鐘楼や弘法寺へ至ります。


右に進むと、釈迦岩札所、勢至岩札所から弘法寺に至ります。左のコースでも釈迦岩札所などを巡るコースが整備されており、札所の順番どおりにお参りできます。


里程地蔵(一丁)と思われます


六番札所 毘沙門岩札所(岩屋)/ 高さ7m


地蔵(五十一番〜六十番) 大師像 毘沙門天(中央仏)/ [御詠歌]極楽へ みちびきたまへ ふどうさん 諸ぶつ諸ぼさつ ちからあはして


毘沙門岩の左側面


左にも岩が並びます。高さ8m


(12) 七番札所/釈迦岩札所 (しゃかいわ)


幅4.1m


釈迦岩の岩屋部分


釈迦岩の右側面。奥に長く横たわった岩です。底面に石仏が祀られているようなかたちになっています。


(13) 不動岩、不動明王堂 (ふどうみょうおう)


不動岩と不動明王堂 / 岩には名は付けられていないようですが(不動岩は三番札所)、不動明王堂にちなんで「不動岩」としました。岩を周回する脇道もあります。


不動明王堂 / 瀬戸内海を垣間見るお堂のたたずまいが心に響きました。 ※ 明暗の差が激しいため画質調整しています。


(14) 龍頭岩 (りゅうずいわ)


龍頭岩。上右の突起部分が弘法大師のお姿に見えるそうです。右上に弘法寺の「せり出し」部分の手すりが見えます。


(15) 八番札所/勢至岩札所 (せいしいわ)


八番札所 勢至岩札所(岩屋)/ 高さ6.8m 幅5.8m


地蔵(七十一番〜八十番) 大師像 勢至菩薩(中央仏)/ [御詠歌]ふもとより 御名となえつつ すぎがたに けふより身にも かなふうれしさ


(16) 玉すだれの滝


玉すだれの滝 / 冬季の凍結した姿で有名な滝です。落差は20mくらいだそうです。当日は少しだけ凍結部分が残っていました(右下部分)。山頂に近いためか、したたる程度の少ない水量です。昔の様子を知りたいところです。水量さえあれば滝行ができると思いますが、岩肌を伝わる水や、その水に染まりながら切り立つ岩に向き合うと、滝に打たれない滝行というのもあってよいのではと都合のいいことを考えてしまいました。不動明王が祀られています(左上)。


後日、お参りのついでに覗いてみたところ、ぽたぽたと溶けつつはありましたが大部分は「つらら」の形状を保っていました。ふだんは水しぶきをあげることのない優しい姿ですが、凍結した様はまさに動き出そうとするかのようで、「名瀑」とは正反対の表現をしてくれる野呂山(あえて野路山)の「玉すだれの滝」に愛着が湧いてきました。


(17) 観音堂 (かんのんどう)


観音堂と記されたものはありませんが、観音堂としました。玉すだれの滝のそばにあります。茶堂、あるいは遍路小屋といった感じの親しみやすいお堂です。


玉すだれの滝を通り過ぎて振り返ったところ。自然の地形を残した遊歩道(八十八ケ所参拝コース)です。弘法寺でお接待をされている中切自治会のみなさんにより整備されたそうです。短縮コースも設けられており、変化に富んだ風景が楽しめます。


(18) 屏風岩 (びょうぶいわ)


野呂山で最大の岩だそうです。二段になっているようですが大きさの把握が難しいです。中央上が「飛び岩」です。


(19) 飛び岩 (とびいわ)


飛び岩 / 玉すだれの滝とともに有名な岩です。岩を飛び越える行場としてとらえることもできます。


飛び岩の上面 / まさに「飛び岩」です。前方は瀬戸内海。


飛び岩(最後の岩)/ 最後の岩へは画像のような足場がありますが、踏み外すと大変なことになります。渡りきっても狭い岩面のためにバランスが取りづらいと思います。度胸だめしなど安易な行動は謹んでください。「瞑想」する場所としては、いちばん手前の岩をおすすめします。


飛び岩 / 下から見上げると様相が変わります。


(20) 九番札所/阿弥陀堂札所 (あみだどう)


九番札所 阿弥陀堂(弘法寺境内)(堂宇) / 弘法寺から駐車場に向かう途中にあります。


(前列)地蔵(八十一番〜八十八番) 弘法大師像 阿弥陀如来(中央仏) (後列)勢至菩薩、大日如来、普賢菩薩、阿しゅく如来、弥勒菩薩、不動明王 / [御詠歌]心して 地蔵峠へ いたりなば このよ安ぜん みらひ極楽 / [御詠歌(本堂)]うちどめの 井音城へと 参る身は 願ひしことの かなはねはなし


(21) 鐘楼 (しょうろう)


鐘楼 / 六番札所(毘沙門岩札所)からの参道は鐘楼に続きます。


鐘楼