鶴林寺 ← 太龍寺 → 薬王寺
 


太龍寺 第21番
(たいりゅうじ)
南舎心ケ嶽 奥之院
(みなみしゃしんがたけ)
北舎心ケ嶽
(きたしゃしんがたけ)
求聞持堂
(ぐもんじどう)
徳島県阿南市
太龍寺
南舎心ケ嶽
北舎心ケ嶽


空海が求聞持法(ぐもんじほう)を修したという大瀧嶽(だいりゅうのたけ)です。

「空海の行」は真言を一日一万遍づつ唱える(求聞持法)だけでなく、聖火を焚き、行道(ぎょうどう)をしなくてはなりません。しかも百日間におよぶ行です。この「真言を唱える、聖火を焚く、行道」を「南舎心ケ嶽(捨身岩)」で行うことは可能なのか、さらに、雨天の日はどうするのか、睡眠はどこでとるのかも気になります。従者がいればなおさらです。

「阿国 大滝嶽 (たいりゅうのたけ) に躋り (のぼり) 攀ぢ (よじ) 土州室戸崎に勤念 (ごんねん) す 谷響 (たにひびき) を惜しまず 明星来影す」  『三教指帰』 (さんごうしいき)  ※ 一部、管理人がふりがなを入れました

この一文について『四国遍路の寺』に明快な解説があります。 解説は こちら

そこには黒河(くろごう)の近くの龍の窟(いわや)の存在が述べられています。「谷響を惜しまず」というのはこの龍の窟で求聞持法を行った状況を表しているそうで、南舎心ケ嶽(捨身岩)は行道の場だったようです。「大瀧嶽で明星来影す」とは書かれておらず、求聞持法は成就しなかったのだろうかという疑問が生まれます。 大瀧嶽とは南舎心ケ嶽一帯を指していたようです。龍の窟はセメント会社に売られてつぶされてしまったそうです。残念です。

なお、「awa-otoko’s blog/太龍寺窟へご案内」のサイトでは、窟(いわや)の内部を説明した文献を紹介されています。復元されれば嬉しいのですが。参道の道路整備費(二輪)は無料です。

●「awa-otoko’s blog/太龍寺窟へご案内」のサイト:
    http://awa-otoko.hatenablog.com/entry/2014/11/22/193655

よりどころ: 『四国遍路の寺
関連するページ: 行場としての野路山(弘法寺)> 明けの明星を探る


県道28号の「坂口屋」の横から入ります。


道路は舗装されているものの荒れています。対向車が来ないことを祈りながら登りました。四輪の場合、運転技術に自信のない方はロープウェイの利用をおすすめします。南舎心ケ嶽から下る遍路道が通行禁止のため、お遍路さんもこの道を利用されます。このような場所ではエンジンを切ってお送りしたいのですが未だに実行できていません。会釈のみです。


駐車場 / 車で参詣する方も多いです。駐車場にはトイレと水場があります。ビバーグポイントです(あくまで緊急時)。


駐車場から徒歩になります。途中で鶴林寺からの遍路道と合流します。


山門に到着します(駐車場から約1km)。体力不足の身にはこたえました。


さらに山門(鐘楼門)がありました。


当日は行事があったようです。


本堂 / 石段を下ったところにロープウェイの駅があります。ロープウェイ駅〜本堂〜大師堂〜納経所〜ロープウェイ駅、というふうにロープウェイ利用者には利便性の高いレイアウトになっています。が、山門やその先の北舎心ケ嶽、また、南舎心ケ嶽まで足を運ぶ方は少ないです。本堂脇の求聞持堂は見向きもされませんでした。お堂は閉ざされていて見学はできないのですが...。


奥殿(御廟?)/ 大師堂の奥にあります。高野山の奥之院と同じ配列になっているそうです。当日は特別な日だったようで大師堂の回り廊下?から扉が開かれた奥殿をお参りすることができました。奥殿の存在をはじめて知りました。


求聞持堂 / 本堂の左にあります。「入堂中」です。遠くから静かに見学してください。


本堂の石段下(ロープウェイの駅)から南舎心ケ嶽を遥拝することができます。



南舎心ケ嶽への参道


南舎心ケ嶽 / 岩の上(右上)に弘法大師像が安置されています。


目前の大きな岩を越えて右側の小道を回り込むと弘法大師像の前側(下)に出ることができます。途中で岩を登れば像のそばにたどり着きます。帰宅してから気がついたことは、こちらの捨身岩は行道の場なので座像より立像の方がよかったのではということです。東方に向かって座られて合掌される姿からは「求聞持法」を連想させてしまいます。


大師像(南舎心ケ嶽)の前側の岩場からの風景です。ロープウェイの駅(左上)や駐車場(右下)が見えます。


南舎心ケ嶽の前側より / 『捨身岩から補陀落山(ふだらくさん)の麓(ふもと)を回って三十町ほど北(※東?)に下がりますと、遍路宿のある黒河(くろごう)というところの近くに龍の窟(いわや)があったことが古い地図に出ています。』『セメント会社に売ってしまって売られて窟はつぶされてしまいました。』(四国遍路の寺より)から、右上の山が削り取られたあたりに「龍の窟」があったと思われます。龍の窟と捨身岩(撮影場所)を往復する行道のきびしさも想像されます。※ 30町×110m=3.3km


南舎心ケ嶽の前側より / 山を越えて来たロープウェイ。もう少しルートを考慮して欲しかったです。関連サイトによると「平成4年、大師御入山 1,200年とロープウェイ開通を記念して求聞持修行大師像が建立された」そうです。複雑な気持ちになりました。


北舎心ケ嶽への参道 / 仁王門近くの参道から入ります(案内標識あり これより170歩)。ほぼ平らな歩きやすい道です。


北舎心ケ嶽 / 異様な空間が現れます。梯子が用意されています。


北舎心ケ嶽・大黒堂 / 梯子を登ると岩の上にお堂がありました。お堂のまわりに行道の跡があるそうです。はるか山のかなたには鶴林寺らしき建物が遠望できます。お遍路さんの行程を実感しました。



太龍寺


南舎心ケ嶽


北舎心ケ嶽(このあたりだと思います)